本を読むということ

 

 

 

 

「読書のない生活は危険だ。人生だけで満足しなくてはならなくなる」

という言葉を目にして、心から共感した記憶がある。

 

 


私は熱心な読書家というわけでもなく、空いた時間や寝る前、手持ち無沙汰な時に本を開く程度だが、読書がとても好きだ。

 

 

 

しかし、なぜ本を読むのが好きかと聞かれた時、私は自分がきちんと腑に落ちる回答をできた試しがなかった。頭の中で何となくぼやけた考えがあっても、言語化ができなかった。

でも、なぜ読書が好きかという問いのはっきりした答えをずっと探していた。

 

 

 


私は小・中学性の頃、本を全く読まなかった。というか、読む必要がなかった。私の世界は現実世界で完結できていたからだ。でも、いつからかそうじゃなくなった。現実から遠く離れた場所がないと生きていけないようになってしまった。現実という外界を切り離し、まったく別の世界を齎してくれるのが本だった。(私にとって、まったく同じ性質のものに絵を描くという行為もあるが。)

 

 

インターネットも、現実世界と切り離したまったく別の世界を齎してくれる。この点については本と類似した点がある。

しかし、ネットにはネットの人間関係が生まれる。私はあまりそれが得意ではなかった。というか、うまく構築することができない。ただぼんやりと眺めているだけか、たまに写真を載せて一方的に発信するだけ。人との絡みはほとんどない。もしかしたら求めていたかもしれないけど、できなかった。私の性質なんだと思う。ただ、人間関係が見えない、人の影が完全に見えない、忘れられる場所が欲しかった。

 

 


たとえば本も映画も、“ 現実世界・自分が常に接している外界から切り離してくれるもの” だけど、私にとって両者の性質は微妙に違う。私は、普段はあまり自ら進んで映画を観ることがない。

 

 

映画は、尺は映画によって決まっていて、淡々と話が進み、時間がくれば自動的に終わる、極めて受動的なもの。見ている間、画面からの情報を常に受け取るだけ。単純に物語と映像を楽しんで、それで終わってしまう。(しかしこれが映画の良さでもある。思考を完全に停止して映画の世界に没頭させてくれる。)

 

 

 

本は、読むスピードも、次のページをめくることも、いつ読み始めるのも中断するのも読み終えるのも、内容について思考を巡らせ解釈するのも、本人の自由意思に委ねられる。本を読むという行為自体が映画を鑑賞する行為よりもより能動的なもののように思える。だからなのか、読了した時の達成感はたまらない。

 

さらに、本は映画とは違い映像がないから、情景や描写を自分の頭の中で想像・創造することになる。その行為もまた非常に能動的。活字からのみの情報で、すべてを解釈しなければならない。

 

 

私は、外界を完全に遮断し、自分の思考と一対一で向き合うことのできる読書という行為に何度も救われてきた。

 

 

本の内容ももちろん重要だが、結局私は本を読むという行為そのものが私にとってなによりも意味のあることなのかもしれない。読書は、自分ひとりで完結し、読んでいる間は現実から切り離され、能動的に自分の思考と向き合うことのできる、すべてのしがらみから解放される行為。だから好きなんだと思う。

 

 

 


目の前の現実の世界のみで生きていける人は、本も芸術も音楽も本質的には必要としない。それはなによりも健全で、ある意味健康的な生き方だと思う。 

 

 

 

でも、私は、思考を現実とは別の場所に飛翔させてひとり孤独に向き合う人たちを愛してやまない。そして、私もまたそのひとりなのかもしれない。

 

 

 

 

 

 

 

 

偶然見つけた、旅行の記録を綴ったある人のブログがやけに面白くて、日々の記録を写真とともに残すことはいいことだな、とありきたりながらそう思って始めた。

 

 

私が高校生の頃はアメブロが流行っていて、同じ部活の子たちと購読しあっていた。

 

あの頃はリアルな友達が見ていることを変に意識していたけど、ここでは誰かの目を気にせず、気負わず、ありのままを綴ろうかなあなんてぼんやり考える。

 

もともと文章を読むのも書くのも好きだったから。

 

 

 

それから、フィルム写真も始めてみたいなあとなんとなく考えてるんだけど、意外とお金がかかるんだよね、フィルムって。

しかも私は人を撮ることが苦手で、おそらくモノや風景の写真ばかりになってしまう。

 

う〜ん。

 

 

とりあえず、深夜3時を過ぎてしまったのでこの思案は一旦寝かせておくことにする。

 

 

 

うん、やっぱり文章を綴るのはたのしい。

 

それが再確認できたことがやけに嬉しくて、今夜は穏やかに眠れそうな気がする。